106万円の壁による社会保険の加入義務は、賃金要件だけでなく、勤務先の従業員数に関する「企業規模要件」も満たした場合に生じます。この企業規模要件は今後段階的に撤廃される予定であることが公表されています。この記事ではそのスケジュールを整理します。
企業規模要件とは何か
企業規模要件とは、勤務先の被保険者数(厚生年金の加入対象となる従業員数)が一定の人数を超える場合に、短時間労働者にも社会保険の加入義務が生じるという基準です。厚生労働省「年収の壁への対応」(2026-09-13確認)によると、この人数要件は今後複数回にわたって段階的に引き下げられ、最終的にはほぼすべての企業規模が対象になる予定です。
撤廃スケジュールの目安
公表されている段階的な引き下げのスケジュールは、おおむね次のとおりです。
2027年10月: 被保険者数36人以上の企業が対象
2029年10月: 被保険者数21人以上の企業が対象
2032年10月: 被保険者数11人以上の企業が対象
2035年10月: 被保険者数10人以下の企業も対象
このスケジュールが進むにつれて、これまで企業規模要件を理由に社会保険の加入義務が生じていなかった中小規模の勤務先でも、短時間労働者が加入対象になる可能性が広がっていきます。
学生にとっての位置づけ
企業規模要件が撤廃されても、それだけで学生が自動的に社会保険の加入対象になるわけではありません。学生は所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3未満であることが多く、この要件を満たさない限り、賃金要件や企業規模要件がどう変わっても、加入義務そのものが生じないケースが大半です。ただし、所定労働時間が長い働き方をしている学生の場合は、企業規模要件の変化によって将来的に状況が変わる可能性がある点は念頭に置いておくとよいでしょう。
段階的な撤廃が意味すること
このスケジュールが示すのは、社会保険の加入対象が一度に全企業へ広がるのではなく、まず比較的規模の大きい企業から段階的に対象を広げ、最終的に小規模な企業まで含めていくという方針です。勤務先の従業員数が現時点でこの基準に届いていない場合でも、スケジュールが進むにつれて将来的に対象に変わる可能性があるため、長期的にアルバイトを続ける予定がある場合は、この撤廃スケジュールを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
アルバイト先の規模を確認する方法
自分の勤務先がどの段階の企業規模要件に該当するかを正確に知りたい場合は、勤務先の総務・人事担当者に確認するのが最も確実です。企業規模要件は被保険者数(厚生年金の加入対象となる従業員数)を基準にしており、単純な従業員の総数とは異なる場合があるため、自己判断だけで結論を出さないよう注意してください。
賃金要件・労働時間要件との組み合わせで判断する
企業規模要件は、106万円の壁を構成する条件のひとつに過ぎず、実際に加入義務が生じるかどうかは、賃金要件(月額8.8万円以上)や労働時間要件(所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上)と組み合わせて判断されます。企業規模要件だけを見て「勤務先が大きいから加入義務がある」あるいは「勤務先が小さいから加入義務はない」と単純に判断するのではなく、複数の要件を総合的に確認する必要があります。
まとめ
106万円の壁の企業規模要件は2027年から2035年にかけて段階的に撤廃される予定ですが、学生の多くは所定労働時間の要件から引き続き対象外となる見込みです。ご自身の状況を具体的に試算したい場合は、年収の壁チェッカーをご利用ください。
本サービスは、学生アルバイトの年収と「年収の壁」(税金・社会保険)が世帯の手取りに与える影響を試算する参考情報であり、実際の税額・社会保険の適用可否を保証するものではありません。試算は2025年度税制改正に基づく令和7年分・令和8年分の制度を前提としており、社会保険料率・自治体独自の制度・個別の控除(社会保険料控除等)は簡略化して概算しています。住民税の扶養控除・特定親族特別控除相当額は一次情報で確認できていないため、所得税率とは別枠の簡易概算です。実際の手続き・最新の制度は、国税庁・お住まいの自治体・年金事務所・勤務先にご確認ください。(本ツールが参照した情報の確認時点: 2026-09-13)