アルバイトの年収に関する話題で「106万円の壁」という言葉を耳にすることがありますが、これは主に会社員パートを念頭に置いた社会保険の制度であり、学生アルバイトの多くには当てはまりません。この記事では、106万円の壁がどのような制度か、そしてなぜ学生が原則としてその対象外になるのかを、厚生労働省の公表情報に基づいて整理します。
106万円の壁とは何か
106万円の壁とは、パート・アルバイトが勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する義務を負うかどうかの基準の通称です。具体的には、月額賃金8.8万円以上(年収に換算するとおおむね106万円)という賃金要件に加えて、勤務先の従業員数に関する企業規模要件の両方を満たす場合に、加入義務が生じます。厚生労働省「年収の壁への対応」(2026-09-13確認)によると、この賃金要件は将来的に撤廃される方向性が示されています。
なぜ学生は原則として対象外なのか
被用者保険(社会保険)の加入義務は、賃金要件・企業規模要件に加えて、週の所定労働時間・所定労働日数が勤務先の正社員の4分の3以上であることも条件のひとつです。学生については、学業を本分とする立場から所定労働時間が正社員の4分の3未満にとどまる働き方をしているケースが大半であり、この時点で加入義務の対象から外れます。そのため106万円の壁そのものが「そもそも当てはまらない」学生が多いというのが実情です。一般的な会社員パートの働き方とは前提が異なるため、同列に扱わないよう注意してください。
例外的に対象となりうるケースもある
すべての学生が一律に対象外というわけではありません。所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上に達するような働き方をしている場合や、勤務先の内規によっては、学生であっても加入義務が生じる可能性があります。個別の勤務条件がどちらに該当するかを正確に知りたい場合は、最終的には勤務先の人事・総務部門への確認が確実です。
130万円の壁とは基準が異なる
106万円の壁と混同されやすいものに130万円の壁がありますが、こちらは親の社会保険の被扶養者として認定され続けられるかどうかの基準であり、106万円の壁とは要件も判定の仕組みも異なります。130万円の壁は現行制度でも維持されていますが、19歳以上23歳未満の学生に限り年間収入要件が150万円未満に優遇されています。19歳未満や23歳以上の場合はこの優遇の対象外となり、130万円が基準になる点に注意が必要です。
一般的な会社員パートとの違いを整理すると
一般的な会社員パートの場合、月額賃金8.8万円以上・企業規模要件・所定労働時間週20時間以上といった条件が揃うと、本人の意思にかかわらず社会保険への加入義務が生じ、給与から保険料が天引きされる形になります。これに対して学生は、学業を優先する働き方が前提にあるため、所定労働時間の要件を満たさないことが多く、同じ年収であっても加入義務の有無が分かれることがあります。この違いを理解せずに「年収106万円を超えたから社会保険に加入するはず」と考えてしまうと、実際の手取りの見通しを誤ってしまう可能性があります。アルバイト先が複数ある場合や、シフトの繁閑で所定労働時間が変動する場合は、この要件を満たすかどうかが変わることもあるため、迷ったときは勤務先に確認するとよいでしょう。
まとめ
学生アルバイトにとって、106万円の壁は多くの場合そもそも適用対象外ですが、130万円・150万円の壁は年齢区分によって基準が変わるため別途確認が必要です。ご自身の年齢区分や年収が世帯の手取りにどう影響するかを具体的に知りたい場合は、年収の壁チェッカーで試算してみてください。
本サービスは、学生アルバイトの年収と「年収の壁」(税金・社会保険)が世帯の手取りに与える影響を試算する参考情報であり、実際の税額・社会保険の適用可否を保証するものではありません。試算は2025年度税制改正に基づく令和7年分・令和8年分の制度を前提としており、社会保険料率・自治体独自の制度・個別の控除(社会保険料控除等)は簡略化して概算しています。住民税の扶養控除・特定親族特別控除相当額は一次情報で確認できていないため、所得税率とは別枠の簡易概算です。実際の手続き・最新の制度は、国税庁・お住まいの自治体・年金事務所・勤務先にご確認ください。(本ツールが参照した情報の確認時点: 2026-09-13)